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私たちが日ごろ口にするあらゆる料理は、さまざまな化学反応によって生まれています。調理とは科学であり、レシピとはある料理を再現するための“実験手順書”でもあるのです。
今回ご紹介する「理系すぎるお料理レシピ」は、「ペペロンチーノ」。シンプルな料理ゆえに、ポイントをおさえることで味の違いが明確に現れます。おいしく作るコツをご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください!
ペペロンチーノの再現方法とその考察
目的
風味豊かなソースがしっかりと絡んだ、おいしいペペロンチーノを作る。
方法
〈材料〉2人分
・スパゲッティ 200g
・オリーブオイル 大さじ4
・にんにく 3片(約15g)
・輪切り唐辛子 小さじ1(約1g)
・塩 適量(スパゲッティの茹で湯の1%)
・黒コショウ 少々(約0.2g〜お好みで)
・イタリアンパセリ 3g
〈手順〉
■下準備
-
にんにくは芯を取り除き、1mmの厚さにスライスする。(にんにくは芯の部分が焦げやすいため、丁寧に取り除いておく)
-
イタリアンパセリはみじん切りにする。
■調理工程
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フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて弱火にかけ、にんにくがほんのりときつね色になったら火を止める。
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鍋にたっぷりの水を入れて沸かし、水に対し1%量の塩を加えてスパゲッティを表示時間よりも1分短く茹でる。※茹で汁は捨てない
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[1]のフライパンを再び弱火にかけ、輪切り唐辛子を加える。シュワシュワと泡が立ってきたら[2]のスパゲッティを入れて軽く混ぜ、オイルを絡ませる。
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[3]にスパゲッティの茹で汁80mlを加え、フライパンをゆすりながらトングや菜箸で手早くよくかき混ぜる。
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ソースがとろりとしてきたら、黒コショウを加えて軽く混ぜてから皿に盛り、イタリアンパセリを散らして完成。
結果
なめらかで口当たりのよい風味豊かなソースが味わい深い、おいしいペペロンチーノが完成した。
考察
ペペロンチーノをおいしく仕上げるためには、以下を心がけるとよい。
■スパゲッティの選び方
「パスタ」とは、小麦粉(原料はデュラム小麦)、水等を練り合わせて作られた食品で、マカロニやスパゲッティ等の総称である。パスタの種類は500種類以上あると言われているが、大きく分けるとペンネやリガトーニ等のショートパスタ、スパゲッティ、フィットチーネ、タリアテッレ等のロングパスタがある。日本の食卓で定番となっているスパゲッティは、1.2㎜以上の太さの棒状、または2.5㎜未満の太さの管状に成形したものを指す。
ペペロンチーノはシンプルな料理のため、麺の喉ごしもおいしさを感じる重要な要素になる。好みにもよるが、おすすめのパスタはスパゲッティの1.5㎜~1.8㎜程度となる。
■麺の茹で方
麺は、歯ごたえが残るアルデンテ状態(パスタの中心に芯が残る程度に茹でる)に茹でることが望ましい。そのため、今回のレシピではメーカー指定の茹で時間よりも1分間短く茹でている。また、麺を茹でる際に茹で水に入れる塩の量は、通常は0.5%程度なことが多いが、ペペロンチーノの場合は麺を茹でる際にしっかりと味をつけておくことがおいしさのポイントとなる。そのため、通常より多めの1%量で茹でた。麺を茹でる際にはパスタ同士がくっつかないよう、少量のオリーブオイルを加えて茹でてもよい。
■乳化のコツ
ペペロンチーノをおいしく仕上げるには、ソースの「乳化」がポイントとなる。乳化とは、液体の細かい粒子が本来混じり合わないほかの液相中に分散することである。水と油が分離している状態では、油っぽさや水っぽさを感じたり、味にムラが出ることがあるが、しっかりと乳化をさせることで油のベタっとした感じがなくなり、味も均一になるためおいしく仕上がる。また、味のまろやかさ、マイルドさも感じやすくなる。
ペペロンチーノのソースをきちんと乳化させるには、オイルに茹で上がったスパゲッティと茹で汁を加えた際に、手早く撹拌しながら混ぜ合わせることが成功のポイントとなる。また、茹で汁中にはスパゲッティを茹でる際に溶け出たでんぷん質が含まれるため、でんぷん質が乳化を助け、とろりとしたソースのテクスチャーを生み出す。そのため、茹で汁は捨てずにソースに活用することも、おいしさをアップさせる重要なポイントとなる。
結論として、おいしいペペロンチーノを再現するには
- 喉越しのよい1.5mm〜1.8mm程度のスパゲッティを使用する
- 茹で水には通常よりも多めの塩(1%程度)を入れ、アルデンテ状態に茹でる
- すべての材料を混ぜ合わせる際には手早く撹拌し、ソースを乳化させる
ことが重要である。
家庭で簡単に作ることのできるパスタの定番「ペペロンチーノ」。にんにくのパンチのある風味と唐辛子のピリっとした辛さが癖になる料理です。家庭で楽しむパスタの定番、ともいえるペペロンチーノですが、なんだか味がぼやけてしまったり、ソースがシャバシャバになってしまって麺と絡まなかったりと、シンプルだからこそ難しさを感じるところもあったりします。今回ご紹介したポイントをきちんと押さえれば、誰でもおいしいペペロンチーノが作れます! ぜひお試しください。
フローチャート作成参考:
『応用自在な調理の基礎 フローチャートによる系統的実習書 西洋料理編』
河内一行ほか/家政教育社
(記事監修/管理栄養士 棚橋伸子)
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