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現役の半導体業界採用担当者&エンジニアが語る 「半導体業界の今後と求められる人材像」 | リケラボ

現役の半導体業界採用担当者&エンジニアが語る 「半導体業界の今後と求められる人材像」

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スマートフォンなどのIT製品から家電、自動車にいたるまで、今や私たちの生活にも産業にも欠かすことのできない「半導体」。短期的には波があっても長期的には継続的な成長が見込まれる半導体業界では今、どのような人材が求められているのだろうか。米国に本社を置く大手半導体製造装置メーカーであるラムリサーチ合同会社の人事部採用担当田口絵理さんと、フィールドプロセス・エンジニアとして顧客のサポートを行う大城ゆきさんをお招きし、お話を伺った。

コロナ特需が一巡し、再び回復に向かう半導体の需要

―早速ですが、半導体業界の市況について教えてください。

田口:ご存じの通り、今や半導体は人々の生活と切っても切り離せない存在です。市況についても、短期的には波がありますが、社会全体のデジタル化は前進し続けており、長期的には今後も確実に成長が続くと予測されています。

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経済産業省「第1回半導体・デジタル産業戦略検討会議」資料5『世界の半導体市場と主要なプレイヤー』をもとにリケラボ編集部作成

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経済産業省「第1回半導体・デジタル産業戦略検討会議」資料5『世界の半導体市場と主要なプレイヤー』をもとにリケラボ編集部作成

―業界で特に旬なトピックや、今まさに起きている変化があれば教えていただけますか?

田口: 世界中で半導体業界への投資が行われています。日本においても政府が半導体産業に向けた「攻めの国内投資拡大」を宣言し、外資系半導体メーカーの日本進出や新会社の設立に官民で取り組んでいることは、我々にとっても大きな変化になるだろうと思っています。

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リケラボ編集部作成

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リケラボ編集部作成

―政府の政策によって、実際に変化は表れていますか?

田口: 経済効果についてはこれから期待大というところですが、人事担当者としての目線で言えば、マスコミが取り上げてくれていることでのインパクトはすでに起きています。テレビやネットニュースで投資の拡大という明るい話題が流れることで、学生の方々の半導体業界への注目度がより高まっていると感じています。

―伸びている業界ということで、やはり各社とも採用を強化されているのでしょうか?

田口:もちろん企業によりけりですが、基本的にはそう言えると思います。といっても、短期で見ると波もあります。たとえば直近ではアメリカが中国に対して半導体の輸出規制を強めた影響などで、市況の拡大傾向も少しスローペースになってしまいました。ただ、冒頭に述べた通り、長期では半導体市場は今後も確実に伸びていきますので、求人も活発に行われていくでしょう。

ラムリサーチの人事部採用担当、田口絵理さん

半導体業界が求める人材像とは?

―採用担当の田口さんから見て、半導体業界ではこういう人が活躍しやすい、もしくはこういうスキルが磨けるという傾向はありますか?

田口:半導体業界は、非常にスピード感があって常に変化が起きている業界です。そうした状況の変化に即座に対応できるかという柔軟性や機敏性といった素養は活躍に必要だと思います。最新の技術が出るのも早いですし、エンジニアは技術知識への興味が高い人、常に学びを楽しめる人かどうかというのは、ポイントかもしれません。

―自ら学ぶ姿勢が大切、ということでしょうか。

田口:もちろん研修もたくさん用意はあります。ただ、教科書に載らないような実践的な知識やスキルをどう伸ばすかというと、やはり答えは現場にありと言いますか、社内やお客様とのコミュニケーションを通じて学ぶ要素が非常に多いと感じています。

―学生の方からよく寄せられる質問には、どんなことがありますか?

田口:弊社について言えば、外資系ということで「英語に自信がないけれど大丈夫でしょうか」といったご質問をよくいただきます。これについては、入社後の環境が否が応でも英語力が育つ場所になっていますので、最初から英語力がなくても英語に抵抗なく学ぶ気持ちがあれば大丈夫ですとお答えしています。

―半導体業界に興味を持った学生の方に向けて、就活のアドバイスやおすすめのアクションが何かありましたら教えていただけますか。

田口:これはもう本当に、できるだけ多く先輩社員と話してみていただくというのが一番いいと思っています。半導体業界は今、これからの業界の成長に備えて採用を活発化しているところですので、企業側も何とか学生の方と話す機会を設けようと積極的に動いています。このチャンスをうまく活用してほしいです。

人事担当者だけでなく、エンジニアともぜひ直接話してみてください。その際に、例えばネガティブなことを質問したとしても、それが採用の評価に関わるといったことはありません。弊社に限らずそうだと思いますが、やはりせっかく入社してくださったからには長く活躍してほしいので、入社後のミスマッチを最小限にとどめたいです。会社・仕事の良い面はもちろん、そうでない点もしっかり理解した上で納得して来ていただきたい。ですから、それぞれの会社で気になったことがあったら、遠慮せず臆さず、なんでも聞いていただけたらと思います。

開発職とフィールドエンジニア、やりがいの違いとは? 

―ここからは、ラムリサーチで「フィールドプロセス・エンジニア」として活躍されている大城さんに、リアルな現場の本音について色々お伺いしたいと思います。はじめに、フィールドプロセス・エンジニアとはどのようなお仕事なのでしょうか?

大城:ラムリサーチがお客様である半導体メーカーへ提供しているのは、半導体を製造するための大型の装置です。ラムリサーチジャパンのフィールドエンジニアには2つあり、ひとつは大型の装置の組み立てを担当するフィールドサービス・エンジニア。もうひとつは、組み立て後の装置の性能を検証する仕事で、これをフィールドプロセス・エンジニアが担当しています。

ラムリサーチのフィールドプロセス・エンジニア、大城ゆきさん

―現場で組み立てたら終わり、というわけにはいかないものなのですね。

大城:はい。お客様先に装置を納入する前段階で、弊社のラボにデモ機を用意してパフォーマンスの検証を行うのですが、ラボと実際の現場ではやはり環境や条件が異なるので、最初から同じパフォーマンスは出ないことが多々あります。そこで私たちフィールドプロセス・エンジニアがお客様先に出向き、現場で仕様通りの性能が出るように調整を行います。半導体製造装置メーカーとして、欠かせない重要な役割です。

―お仕事で達成感があるのはどんな時ですか?

大城:細かい話になってしまいますが、例えば、半導体のシリコンウエハーに膜をつける装置の場合、当然、綺麗に膜だけがウエハーについてほしいわけです。しかしそこには半導体の大敵ともいえる問題が常についてまわります。パーティクルと呼ばれる、微細なゴミの発生です。膜に微細なゴミが混入すると、歩留まりが悪くなるとか、装置のメンテナンスが必要になり生産性(装置稼働率)が下がるといったことにつながってしまいます。この問題を解決するために、装置の異常の調査や条件の調整等をしていくのですが、アメリカ本社の開発部門のチームと連携しながら、決められた評価期間中に狙ったパフォーマンスを出せた時には、やっぱり達成感がありますね。

―ところで大城さんは、ラムリサーチ入社前は日本のデバイスメーカーで開発の仕事をされていたと伺いました。開発職とフィールドエンジニア、どちらのご経験もある大城さんから見て、それぞれの仕事の魅力の違いはどんなところにありますか?

大城:やはりメーカーの開発職ですと、最終的に自分が設計したり関わったりしたデバイスが実際に完成品というかたちで市場に出るという嬉しさがありますよね。

一方で今のフィールドプロセス・エンジニアの仕事の特徴は、お客様と直接コミュニケーションをとる機会が多いことだと思います。お客様からは当然ながら、機能要件についてたくさんのリクエストをいただくのですが、すべてのご要望を盛り込むと、納期や費用が予定に収まりきらない、といったことが往々にしてあります。そこで装置のプロである我々が、お客様とディスカッションを繰り返しながら本当に必要なところを見極め、優先順位をつけてお客様のニーズに過不足ない仕様をご提案していきます。お客様と一緒に作り上げていく感覚が、魅力でありやりがいですね。

英語力は狙い通りアップ。専攻に関係なく技術が学べる業界

―半導体業界に興味を持ったきっかけや理由があれば、教えていただけますでしょうか?

大城:もともと大学の修士課程で半導体をテーマにした研究室に所属していたので、単純にそこから自然な流れで就職活動でも半導体業界をメインにしました。

―修士課程では、どのようなご研究を?

大城:「シリコンカーバイド」という、シリコンと炭素で構成される半導体材料を扱っていました。通常半導体といえば今現在はほとんどシリコンウエハーなのですが、もっと性能が良い材料としてシリコンカーバイドを使ったデバイスを作ることに挑むという研究でした。

―学生時代の研究は今のお仕事に直結していますか。あるいは、結構「それはそれ」という感じでしょうか。

大城:それはそれという感じですかね。逆に言えば、研究内容自体は他分野だったとしても、基本的な理系の素養さえあれば活躍できるのが半導体業界ではないかと思います。

―転職の際に、ラムリサーチさんを選ばれた決め手はなんでしたか?

大城:個人的に英語のスキルを上げたいという思いがあったので、今度は外資の方がいいかなと。その上で、たまたま大学院時代の先輩がラムリサーチにいらして、働きやすくて雰囲気もいいよと聞いていたので、受けてみようかなと思いました。

―ラムリサーチさんにご入社後のフィット&ギャップといいますか、想像した通りだったところと違ったところがもしありましたら、教えていただけますか。

大城:まず、英語力を伸ばしたいという軸の面では、狙い通り上達もしましたし、予想通り苦戦もしています(笑)。やっぱりアメリカの方とのミーティングは、内容がわかってもわからなくても会議は終わってしまうので、わからなかったときになんとかフォローアップをしないといけないとか、最初の頃はそこが大変ではありました。

―英語に慣れてきたかなと実感できるまでには、何年ぐらいかかるものでしたか。

大城:正直、最初の1年間は苦労が続きました。慣れてきたと感じるようになったのは、私は3年目くらいからですかね。

―社内の雰囲気はいかがですか? 外資系ならではと感じることはありますか?

大城:外資系というと、ワークライフバランスが取りやすく働きやすい一方で、やや個人主義的なのかなというイメージがあったのですが、ラムリサーチはとてもチームワークを重視する会社で、実際に私のチームの先輩方は本当に優しいです。教育面でも、私は入社してもう8年ぐらいになりますが、受けたいトレーニングは気軽に受けさせてもらえますし、フォローの手厚さは感じています。

―仲間や上司のフォローで大ピンチを切り抜けることができたというようなエピソードは何か具体的におありですか?

大城:現場では大ピンチというのは基本的にはあってはならないことで、これという大きな話は幸いにして思い当たりません。でも大ピンチを未然に防ぐという意味で、ミーティング等では、本当にしょっちゅう助けられていますね。年齢も立場の上下も関係なく、チームがうまく機能するようにみんなでフォローしあえているので、環境には恵まれているなと思います。

半導体業界への就職に興味のある学生の方へのメッセージ

大城:グローバルで成長している半導体業界において、日本の半導体産業の巻き返しが注目されています。これから工夫次第でもう一度日本が世界をリードしていける可能性もあると思っていて、この先の未来を楽しみにもしています。皆さんもぜひ、挑戦してみませんか?

田口:採用担当としての私のいちばんの楽しみは、エンジニアたちの成長です。弊社の装置がなければ生まれることのなかった製品や、実現できないであろう未来というものが確実にあって、そこに自負だったり、面白みを感じるエンジニアであれば、ものすごいスピードで成長もしていきます。それを見守るのが私の喜びです。このワクワクを一緒に味わいたいと思ってくださる仲間が増えたら、とても嬉しく思います!

ラムリサーチ合同会社
米国カリフォルニア州に本社を置く半導体製造装置のトップレベルカンパニーであり、特に半導体エッチング装置の分野で世界的に高いシェアを誇るラムリサーチ社の日本法人。日本国内の顧客に向けた半導体製造装置の販売、設置・保守・改善等のオンサイト業務、カスタマーサポートなどを行っている。

リケラボ編集部

リケラボ編集部

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