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科学を愛する読者のみなさま、ごきげんよう。くられです。
使える予算は1万円以内。「高価な実験機器は使えない」という制約のなかで知恵と工夫を凝らして実行可能なおもしろ実験を紹介する本企画。第2目の今回はとある食材を使ったこんな実験をお届けします。
題して、「ネオンうどん」。
暗闇に妖しく光る、エレクトリカルなうどん!です。
●本邦初公開? ネオンうどんの作り方
うどんを光らせる。
さっそく、この意味の分からない加工に取り組みたいと思います。
使うのは「生のトウモロコシ」です。
生のトウモロコシには、青系蛍光色素が多く含まれ、しかもその色素には熱に強いという特性があります。
ただしトウモロコシの蛍光色素だけでは完成品の色味としてはちょっと足りない感じになってしまうので、さらに着色料を足すことで、蛍光時の色味をより際立たせたいと思います。今回の実験で使用するのは、ブリリアントブルーFCという着色料。青色1号という名前で売られています。さらに具材の色づけ用にニューコクシンという着色料も使いましょう。こちらは赤色102号という名前で売られています。
実験の手順としては、まずはトウモロコシの蛍光色素の抽出からです。蛍光色素はトウモロコシ全体に多く含まれますが、特に葉とヒゲ(おしべ)、そして芯の部分により多く含まれています。これらを抽出するために料理酒で葉とヒゲ、そして実を取り除いた芯の部分をひたすら煮込みます。
だいたいうどん1人前を作るのにトウモロコシ5本分くらいは煮詰めないと蛍光強度が出ません。
抽出した蛍光液を濾過して青色1号を数滴加え、そのお湯で生のうどんを茹でます。
こうすれば、うどんの中に蛍光色素と青色色素が中に染みこんで青いうどんができあがります。
同様に赤色にしたい食材については赤色102号を溶かした液で煮ればOK。
今回は油揚げを赤く光らせることにします。
あとは他の具材も同様に染色したり適当に好みの味に調整したりして盛り付ければ、完成です。
できあがったらブラックライトを当てれば、ピカーーーっと美しい色合いで光って思わず食欲が・・・
湧きませんね(笑)。
●美しく光らせるにはブラックライト選びにもコツが
写真を「映え」させるにはブラックライト選びにもコツがあります。蛍光灯式のブラックライトでも構わないのですが、特殊な波長の紫外線LEDを使うとより綺麗な写真を撮ることができます。
現在の紫外線LEDは安いモノは380や390nmといった紫の光と一緒(400nmあたりが人間が認識できる下限で紫色のため)に放出される仕様になっていて、実はあまり光る物質が少ない波長のものです。今回のネオンうどんのような蛍光食品をきれいに映すには360nmあたりの波長が望ましく、市販品では近い波長で375nmのものと365nmのものが販売されています。
375のLEDは可視光が少なく物体だけが光るように見えます。しかし365nmのLEDは出力が高いものが多いのですが可視光が同時に出てしまうため食品が光っているというより単に光で照らしているような絵になってしまいます。
理想は365のフィルター付き・・・なのですが、かなり値段がしてしまうので、現実的ではないでしょう。なので「375 UV」などで通販サイトなんかで検索して、375nmのLEDがついた乾電池で動くモデルで2、3千円ぐらいのものを選ぶと一番丁度良い感じのスペックとなります。
こうしたライトと蛍光食材をうまく組み合わせることで、美しく光っている世にも変な食べ物の写真を撮ることができるわけです。
ちなみに今回の蛍光食品づくりは、カレーなんかにも応用できて、これはこれでいい感じに不気味なものができあがります(笑)。
最後に肝心のお味ですが・・・いうまでもなく非蛍光食品となんら変わりはありません。もっとも、おいしく「感じる」かどうかは人それぞれの主観の問題なので、なんともいえませんが(笑)。
ともあれ、インパクト特大のビジュアルに、パーティメニューとして盛り上がることは請け合い! というだけでなく、蛍光色素がトウモロコシ由来だと知ることで植物への新たな関心が広がりますし、食用色素を使ってみることで食品添加物に対する知識やリテラシーが深まるきっかけにもなるのではないでしょうか。
ぜひ一度お試しあれ!
●今回の実験にかかった費用
各種食材(うどん、トウモロコシ、油あげ等):1,000~2,000円くらい
着色料(青色1号、赤色102号):1,000円くらい
ブラックライト(375nm、LEDタイプ):3,000円くらい
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